動物の特性を活かした除草作業とは

除草作業、草刈り、というと、手間がかかって嫌なイメージを持つ人も多いかと思いますが、今回は動物に草を食べてもらうやり方で除草作業をすすめる取り組みをご紹介します。

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ヤギや羊を使った除草作業をする自治体なども

ヤギや羊による除草に取り組んでいる自治体などもあることは、最近ニュースなどでも紹介されています。

例えば、岡山県では農作物が作られておらず荒れてしまった農地にヤギやヒツジを放牧して、除草をするユニークな取り組みを行っている集落があります。
岡地区では高齢化などで農作業が行われなくなった農地を保全しようと、2009年からヤギの放牧を始めました。
最初は、農地を鉄の柵で囲ったり、夜眠るための小屋を設置したりして、ヤギ4頭を放ちました。ヤギは斜面を好む習性があることから、翌年からは、ヤギに加えて平地にある田んぼや畑にヒツジ5頭を放牧しました。

また、群馬県明和町の下水処理施設「明和水質浄化センター」では、ヤギを除草に活用する実証実験が行われています。
ヤギは1~4歳の雄4匹で、同県邑楽町の運送業者から借り入れたそうです。同センターの除草は町職員や委託業者などが年4~5回行っていますが、人件費や草の運搬費に年間40万~50万円がかかり、人手不足も課題だそうです。
これに対し、ヤギは輸送料などを含めても年間約15万円で済むそうです。燃料が必要な草刈り機や運搬車も使わないため、二酸化炭素(CO2)排出量も年間約53キロ・グラム削減できる見込みです。
実証実験では10、11月の2か月で約2000平方メートルを除草する予定でしたが、1か月半で終え、約500平方メートルを追加しています。町は実証実験後、2024年度の本格導入を検討しており、町都市建設課は「ヤギの健康に配慮し、来年は春から秋の活用を検討したい」としています。

動物を使った除草作業のデメリット

ヤギや羊などが自然の中で悠々と草を食べている姿は、なんとも言えないのどかな風景と言えるでしょう。
ただ、実際にヤギや羊を飼うにあたっては、当然動物たちの世話をし、注意を払わなければならないこともあります。
また、動物は草を食べ続けますが、草刈り機での除草に比べると、ゆっくりです。スピードを要する場合には、動物は不向きのようです。
そして、ヤギは放牧していると脱走してしまうので、首輪でつなぐか柵で囲む必要があります。そうなると面積が広がれば広がるほど資材費用がかさむ可能性もあります。
放牧中も、ヒモが繋がれたまま斜面で転落していないか、野生動物に襲われていないか、定期的に巡回しチェックすることも必要です。
また、羊は年に1度、春先に毛刈りが必要です。毛刈りをしないと病気になったり、雨に濡れた際に毛が重くて立てなくなったりすることもあります。

動物で除草するメリットは?

トリプルゼロ(騒音ゼロ、CO2ゼロ、廃棄物ゼロ)を目指した環境にやさしい除草手法です。除草剤を使わないこと、草刈り機のような音がしないこと、燃料がいらないこと、刈った草の廃棄処分などが必要ないことなどが、まず挙げられます。
また、農家らによると、ヤギのふんはほかの家畜ふんと比べても土中の微生物の繁殖に一役買う効果が高いといい、よりよい土壌改良効果が期待できます。また、ヤギは斜面を好むためヤギに草刈り作業を任せることで斜面での転落などの危険も回避することができます。
そして、羊の刈り取った毛はいわゆるウールですので、加工製品の原料として使用することができます。そこで良質な毛がたくさん取れる羊を導入して、加工・製品化し、直売所で販売している団体もあります。
また、なんといってもその愛らしい姿にまわりの人たちに和やかな空気をもたらします。子どもの情操教育にも役立つではないでしょうか。

ヤギをレンタルして試してみるのも一つ 

デメリットもあるけれど、興味があってやってみたいと感じる方は、まずヤギをレンタルして試してみるのも良いかもしれません。飼育に必要なものも、レンタルしているところもあります。
福島県「かつらおヤギ広場 がらがらどん
長野県「産直市場グリーンファーム
静岡県「青葉農場
愛知県「愛知ヤギ農場
大阪府「ワールド牧場
京都府「YAGI RENTAL
熊本県「JO企画

まとめ

動物での除草作業の実際は、結構大変なこともあるようです。にもかかわらず、動物での除草をやってみたいなと思わせるものは何なのでしょうか。日頃忙しい私たちに比べると、動物たちはゆったりと黙々と草を食べています。彼らの姿に自然と心癒されるのかもしれません。費用対効果や生産性ばかりに重きを置きがちな昨今の日本の社会においては、ゆったりとした動物たちのような時間の流れが必要なのかもしれません。
そうした意味では、動物による除草は大変意義のあるものではないでしょうか。


 

 

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やさしいしいたけ.jp 編集部です。
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