プラスチック資源循環促進法をわかりやすく解説!削減される12品目や対象事業者は?

対象事業者に対して使い捨てプラスチック12品目の削減を求める「プラスチック資源循環促進法」が、2022年4月から施行されました。
ニュースで「プラスチック資源循環促進法」のことを知ったという方でも、この法律で何がどう変わるのか、今後どのような取り組みがされるのか、といった具体的な内容までは知らないという方がほとんどだと思います。また、対象事業者に向けた法律であるため、消費者である私たちにはあまり関係ないように感じるかもしれません。しかし、「プラスチック資源循環促進法」は私たちの生活にも実は関係してくる法律だったのです。
ここでは、削減される12品目や対象事業者を紹介した上で、「プラスチック資源循環促進法」についてわかりやすく解説しています。この記事を通して、「プラスチック資源循環促進法」の理解を一緒に深めていきましょう。

目次

「プラスチック資源循環促進法」とは?

「プラスチック資源循環促進法」とは、これまで無償で提供されてきたスプーンやハンガーなどのプラスチック製品12品目について対象事業者に対して削減を求める法律です。「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を略して「プラスチック資源循環促進法」や「プラスチック新法」と呼ばれています。
そして、この「プラスチック資源循環促進法」が2022年4月から施行されたことにより、企業では脱プラスチックの動きが高まっています。環境省の勧告にも従わずに取り組みが不十分な対象事業者に対しては、50万円以下の罰金が課せられることも。

削減されるプラスチック製品12品目と対象事業者は?

対象となるプラスチック製品は、プラスチック製のフォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、衣類用ハンガー、衣類 用カバーの12品目です。
主に、百貨店・スーパー・コンビニなどの小売業、ホテル・旅館などの宿泊業、レストラン・居酒屋などの飲食店、フードデリバリーなどの持ち帰り・配達飲食サービス業、クリーニング店などの洗濯業が対象です。また、経済産業省と環境省から出された資料によると、「前年度における特定プラスチック使用製品の提供量が5トン以上」ある事業者も対象となっています。

対象事業者に対して、具体的にどのようなことを呼びかけているの?

「プラスチック資源循環促進法」では「そもそもごみを出さないよう設計する」といったサーキュラーエコノミー(循環経済)の考えのもと、「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」と「リニューアブル(再生可能)」を掲げています。ですので、設計の段階でプラスチックを使わないように木製や紙製品の利用を促進しています。
具体的には、木製スプーンや紙ストローの提供やストローが不要な飲み口に変更する、プラスチック製品を提供する場合には有償にする、また宿泊施設のアメニティは部屋に置かずにフロントで受け取るようにするなどの取り組みを呼びかけています。

「プラスチック資源循環促進法」が施行されたのはなぜ?

使い捨てプラスチック12品目を削減するよう対象事業者に呼びかける「プラスチック資源循環促進法」が施行された背景には、どのような問題があったのでしょうか?

海洋プラスチック問題

プラスチック製品は丈夫で長持ちするため、川や海に捨てられるとほとんど分解されないという特徴があります。
「海洋プラスチック問題」とは、捨てられたプラスチックごみが最終的に海洋を漂って生物の生態系や私たちの生活に悪影響を及ぼす問題のことです。世界の海にあるプラスチックごみは、全部で1億5000万トンと言われています。

諸外国による廃棄物の輸入規制強化

日本は国内で廃棄になったプラスチックを資源として諸外国に輸出していましたが、2017年に中国が廃棄物の輸入を規制したことをきっかけに、諸外国でも輸入規制を強化していきました。
このような背景から、日本は国内で廃棄になったプラスチックを資源として循環させる必要がますます出てきたのです。

「プラスチック資源循環促進法」における5つの措置

こうした問題を受けて、「プラスチック資源循環促進法」は次のような5つの措置をとることにしました。

環境に配慮した設計指針

まず1つ目の「環境に配慮した設計指針」とは、プラスチック製品の製造事業者は製品ができる前の製造の段階で環境に配慮した設計をするよう努めなければならないという措置です。

プラスチック製品の使用における合理化

2つ目は、プラスチックのスプーンやストローなどの使い捨てのプラスチック製品を減らす措置です。また、これらの製品を無償で提供している事業者に対して、勧告・公表・命令を実施しています。

市区町村の分別収集、再商品化の促進

市区町村によるごみの分別収集が促進された他にも、「容器包装リサイクル法」を活用した再商品化が可能になりました。

製造・販売事業者などによる自主回収・再資源化事業の促進

製造・販売事業者が自主回収して再資源化計画を作成して認定されると、廃棄物処理法の業許可が不要になります。

排出事業者の排出抑制・再資源化の促進

最後に、排出事業者が排出抑制・再資源化に取り組むための判断基準を策定しました。この措置でも、自主回収・再資源化計画を作成して認定されると、廃棄物処理法の業許可が不要に。

「プラスチック資源循環促進法」による企業の取り組みは?

これらの措置がなされたことにより、対象事業者による12品目の使い捨てプラスチックを減らすよう促しただけでなく、事業者や市区町村がそれぞれ自由にプラスチックごみを再資源化・再商品化できるようになりました。
今の段階ではその実感は少ないかもしれませんが、「プラスチック資源循環促進法」による対象事業者の取り組みがさらに進んだら、実感する機会も増えることでしょう。

ここでは、「プラスチック資源循環促進法」によって変わった企業の取り組みをご紹介しますね。また、ここで紹介した以外の事例を知りたい方は、プラスチックスマートのホームページ(http://plastics-smart.env.go.jp)をご覧ください。

ファミリーマート

ファミリーマートでは、2022年3月から1ヶ月の間、都内10店舗でプラスチック製フォークの提供をやめて割り箸を提供する実証実験を行いました。
そして、「2019年度対比2030年度までに石油由来のプラスチック使用量を50%削減」を目標に掲げ、配布抑制にも努めています。

参考:ファミリーマートHP 持続可能な資源利用と環境汚染の防止

スターバックス

2021年4月から順次、冷たい飲み物のメニューをフタなしで提供することを発表したスターバックスでは、マイストローやグラスなどの新商品を次々と販売しています。

参考:STARBUCKS STORIES JAPAN PRESS RELEAES Apr 15 2021

アサヒ飲料

アサヒ飲料では、キャップの軽量化によるプラスチックの削減やラベルレスの商品を開発しています。
そういえばラベルがないペットボトルがあったな、ラベルの範囲が少なくなったな、と感じる方もいるのではないでしょうか?

参考:アサヒ飲料HP アサヒ飲料「容器包装2030」持続可能な容器包装の実現に向けた取り組みを強化

対象事業者だけでなく、消費者である私たちが変わることはある?

このようにさまざまな対象事業者が「プラスチック資源循環促進法」によって取り組む中、私たちの生活にもさまざまな変化が訪れることは間違いありません。それでは、私たちはどのように変わっていけばいいのか考えてみましょう。
例えば、コンビニでもらえていたフォークやスプーンをもらわない、アメニティを使わないようにするなど。また、レジ袋の有料化によってマイバッグを持ち歩く方は増えましたが、これからはマイカトラリーやマイストロー、マイボトルを持ち歩く必要もありそうですね。
「プラスチック資源循環促進法」によって対象事業者が努力するのはもちろん、私たちも意識を変えて協力することも求められているのでしょう。私たちの意識や行動こそ、地球のためになっているのです。

参考
経済産業省 環境省「プラスチックに係る資源循環の 促進等に関する法律について」
WWFジャパン WEBサイト「海洋プラスチック問題について」、McKinsey & Company and Ocean Conservancy(2015)
環境省 プラスチックスマート

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この記事を書いた人

やさしいしいたけ.jpライターのごとうあきらです。
3歳男の子の育児と家事に毎日奮闘しています。
読みやすくて分かりやすい記事の執筆を目指し、読者のみなさまと環境問題について一緒に考えていけたらと思っています!

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