秋なのに花粉症?!花粉症が増加、低年齢化する理由と対策

花粉症といえば、季節は「春」を思い浮かべる方が多いと思います。
ところが9月末の先日、アレルギー持ちの家族が次々にくしゃみが止まらず、「秋の花粉症だ!」と言い、点鼻薬を使うようになりました。
一体どういうことでしょう。
実はひと昔とは違い、花粉症は一年中あるようなのです。
今回は年々増えていく花粉症患者、とくに小さな子供までもが悩んでいる花粉症について原因や対策についてお伝えしていきます。

目次

増加する花粉症患者、低年齢化も

耳鼻咽喉科の医師とその家族を対象とした「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」という論文で非常に興味深いデータがあります。
1998年、2008年、2019年の3回に分けて調査されたのですが、「アレルギー性鼻炎全体」「花粉症全体」「スギ花粉症」「スギ以外の花粉症」「通年性アレルギー性鼻炎」の項目すべてが昔に比べて有病率の上昇が見られます。
さらに年齢に注目してみても、スギ花粉症が5~9歳で約30%、10歳代では49.5%と急増しています。
50代までスギ花粉症患者が40%を超える有病率であることから、花粉症は現代病であり、昔に比べてかなり低年齢化していると言えるのではないでしょうか。

花粉症が増加している理由

では近代において、なぜ花粉症患者が増えているのでしょうか。
考えられる原因を下記にまとめてみました。

戦後復興のために植樹されたスギ

第二次世界大戦後の1945年から20年間にわたり、復興のために多くのスギが全国各地に植えられました。
1970年代から一斉に花をつけるようになったため、この時期から花粉症患者が増加しました。
スギは樹齢が高くなるにつれ、より多くの花粉を放出するそうです。
「ではなんで切ってくれないの?」と思いますが、人工林であっても環境保全「河川の流量調節や、温暖化防止」の機能があるのも事実です。
そして現在では海外から安価な木材を輸入しているので、伐採されない放置されたスギの人工林が増えてしまっていることもまた事実ですので、国が計画的に人工林を伐採・管理してくれることを望みます。

大気汚染

私たちが抱える環境問題のひとつに「大気汚染」があります。
名古屋大学と福井大学の共同研究グループが、「大気汚染の激しい地域では、非汚染地域よりも、アレルギー性鼻炎との関連で影響が大きい」と結論づけました。
大気汚染が深刻な地域には鉛、水銀、カドミウムなどの重金属が存在します。
研究グループは、花粉症患者とそうでない人の鼻の中の成分に着目し、汚染物質について調べる実験を行いました。
スギ花粉飛散前は花粉症患者とそうでない人の鉛濃度に差はなかったのに、飛散開始時期では患者の鉛濃度は花粉症でない人の約1.5倍になっていることが分かりました。
花粉が飛散すると空気中の鉛が付着し、それを花粉症患者は吸い込んでしまい、それによってくしゃみなど花粉症症状をさらに悪化させている可能性があるということなのです。
この実験結果から、大都市で花粉症患者が多い理由として、大気汚染との関連性が注目されています。

アスファルト化

都市部のアスファルトが多い地域では、飛散された花粉が土に吸収されずに、風を受けた花粉が何度も空中に舞ってしまいます。
その際には、花粉だけではなくダニ・カビ・ホコリ、そして上記にも挙げた排気ガスなどの「アジュバント」と呼ばれる物質に花粉が付着して、アレルギー症状をより悪化させます。

食生活の変化

20年前と比べて、私たちの食生活も大きく変わりました。
具体的には欧米化によって肉や乳製品の摂取量が増えて、高脂肪食になりました。
また、インスタント食品など添加物を多く取る機会が増えて、腸の免疫システムが弱くなってしまっている可能性があります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌で腸内の善玉菌を元気にし、食物繊維が多く含まれる野菜をたくさんとって、腸内環境を整えたいですね。

四季別の代表的な花粉

花粉症発症の原因となる植物は約60種類もあります。
四季を通じて花粉症の方が気を付けたい植物をまとめました。

  • 春:スギ、ヒノキ
  • 夏:イネ、シラカンバ
  • 秋:ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
  • 冬:スギ

花粉症対策

  • 日頃から食生活に気を付けて、腸内環境を整える。
  • 天気予報で「花粉飛散情報」をチェックし、花粉飛散がピークの日、時間は避ける
  • 外出する時はマスク、メガネをつける
  • 花粉症が付着しにくいサラッとした生地の洋服を選ぶ
  • 洗濯は部屋干しにする(外干しの場合は、取り込むときに衣類を振って花粉を落とす)
  • 帰宅したら手洗い、うがいを習慣づける
  • 室内の掃除をこまめにする
  • 家は換気をする(ただし花粉が多い日は窓を開けっぱなしにしない)

まとめ

花粉症を発症すると、目のかゆみ、喉のかゆみ、止まらない鼻水など不快な症状で日常生活にも影響を及ぼしますよね。
とくに都市部では大気汚染やアスファルト化などの環境問題を改善しなければ、ますます花粉症患者は増える一方ではないのか、と不安を感じています。
ですから花粉症について知識を身に付け、できるだけ発症しないように行動したいですね。
どうしてもつらい症状が出た場合は、病院へ行って症状改善のお薬をもらい、クオリティオブライフ(生活の質)を上げるようにしましょう。
私も家族も花粉やホコリのアレルギーを持っていますので、まずは腸内環境を整えて、免疫力をアップすることからはじめようと思います。

参考
平成17・18年度厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・治療研究推進事業
環境省 花粉症環境保健マニュアル2022

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この記事を書いた人

やさしいしいたけ.jpライターのseikoです。
最近家庭菜園にハマっていて、つい先日はブルーベリー(サザンハイブッシュ系2種)とミニトマトの苗を植えました。
今年もレモンの木にはたくさんの蕾ができていて、今から収穫が楽しみです。
日々の暮らしの中で感じたことや、生活の知恵を共有できる記事を書きたいと思っています。

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