人と自然が共存する世界を目指して ~「絶滅危惧生物」を知り、私たちができることを考えよう~

2022年の夏休みに、家族で千葉の水族館「鴨川シーワールド」を訪れました。
シャチやイルカのショーでは子供たちも、大人も大はしゃぎ。
館内ではクラゲやクマノミなど小さな生物に癒され、普段あまり見られないサメやセイウチなどをじっくり観察することができました。
東京新聞の記事によると、鴨川シーワールドでは県内の山里にひっそりと生息する絶滅危惧種「シャープゲンゴロウモドキ」や、生息数が減少している「ニホンイシガメ」(日本固有種)の保全活動を行っているそうです。
ふと考えました。
「絶滅危惧種って最近よく耳にするけれど…そういった海の生物が増えてしまうと、水族館ってなくってしまうのかな」
ちょうど旅行中、海水温度が上がって死んでしまった沖縄の珊瑚について特集しているテレビ番組を見たことも、この記事を書こうと思ったきっかけのひとつです。
どうして動物、海洋生物は「絶滅の危機」になってしまうのでしょうか。
その答えは、調べていくうちに私たちが直面している環境問題と大きく関わっていることが分かりました。
動物好きの方も、そうでない方も、「絶滅危惧生物」について考えてみませんか?

目次

生物が絶滅危機になる4つの原因

森林破壊

現在、森林の面積は地上の3割を占めており、多くの野生生物が生息しています。
しかし2015年以降、彼らが暮らす天然林の面積は毎年約10万平方メートルほど失われています。
具体的に説明しますと、東京都ほどの大きさの森が1週間ごとに失われ続けているということなのです。
この森林破壊は熱帯を中心とした限定的な地域で発生しており、「開発」が大きな原因です。

海洋環境の悪化

海に大量に流入するプラスチックが、現在世界的な問題となっています。
プラスチックとは具体的には空のペットボトル、ビニール袋、マイクロプラスチックなどです。
それ以外にも洋服や自動車、建設資材などあらゆる場面で使用されています。
耐久性に富み、安価に生産できることがメリットと言えますが、その多くが「使い捨て」されていて、利用後処理されずに最終的には海へ流出してしまうことが少なくありません。
年間800万トン(分かりやすい重さでいうと、ジェット機5万機相当!)が新たに流入していると推定されています。

密猟

野生動物を守るために定められた法律を破っておこなわれる「密猟」や「密輸(違法取引)」。
それも野生生物を絶滅危機に追いやる原因のひとつです。
アフリカゾウの象牙、サイの角、トラの骨、これらは装身具や伝統薬の原料として高値で取引されており、これが密猟や密輸を引き起こす原因になっています。
さらに生育環境の破壊によって住処を失って数を減らした野生動物にさらに追い打ちをかけているのが密猟・密輸です。
違法取引の規模は年間約2兆円と推定されています。

気候変動(地球温暖化)

気候危機とも呼ばれるようになった地球温暖化の問題。
地球温暖化の原因は、二酸化炭素を中心とした温室効果ガスです。
温室効果ガスは、私たちが電力などのエネルギーを得るために石油・石炭などの化学燃料を燃やすことで発生する発生します。
その結果、沿岸部の洪水や海面上昇、豪雨や干ばつ、熱波による死者・熱中症の増加、食料不足、水資源の不足、そして生物多様性や生態系サービスの損失など、様々なところに影響が出ます。

私たちの身近な絶滅危惧生物

森林破壊【トラ】

トラはアジア大陸を代表する、ネコ科の大型肉食獣です。
北は極東ロシア、東南アジアの熱帯林やマングローブ、インドのサバンナまでさまざまな環境に適応しています。
20世紀初頭は、世界に10万頭が生息していたと言われていますが、現在の推定個体数は3,000頭あまりにすぎません。
一つ目の原因は密猟です。
もうひとつは開発による住処の森の消失、獲物となる草食動物の減少で、近年はますます深刻になっています。
東南アジアでは森林が破壊され、造成される農地やプランテーション(植林)では紙パルプの原料やパーム油、天然ゴムなどが作られています。

海洋環境の悪化【ジンベエザメ】

ジンベエザメは最大で全長20mにもなる地球上で最大のサメです。
知っていましたか?ジンベエザメの由来は、「身体の模様が甚兵衛の模様に似ているから」なのですよ。     卵胎生で卵ではなく、お腹の中でふ化した仔ザメを出産します。
ジンベエザメは漁獲、海洋プラスチックなどの汚染、観光でのダイビングなどの危険にさらされています。
インド・太平洋では過去75年間で63%、大西洋では30%減少しており、危機は深刻です。

密猟【アフリカゾウ】

アフリカゾウ(サバンナゾウ・マルミミゾウ)は世界でもっとも密猟されている哺乳類の一種です。
象牙の需要が密猟の主要因です。
象牙の国際取引は「ワシントン条約」により、原則禁止されています。
にもかかわらず、アジアの経済成長で急増した象牙の需要がアフリカでの密猟と、アジア市場向けの違法取引を引き起こし、アフリカゾウの生存に深刻な脅威をもたらしています。

気候変動(地球温暖化)【ホッキョクグマ】

北極海やその周辺に分布するホッキョクグマは陸生肉食獣では最大の種で、オスは最大2.5m、体重は600㎏にもなります。
1年の半数以上を海上の上で過ごし、アザラシを主食としています。
2000年以降、地球温暖化によって北極圏で海氷の減少が認められる頃から絶滅が心配されるようになりました。
アザラシなどの獲物を氷上で獲りにくくなること、夏場の絶食時間が長くなることで栄養失調になるホッキョクグマが増えたためです。

WWFジャパンの役割と私たちにできること

WWFジャパンの組織は、設立50周年を迎えました。
WWFジャパンのメンバーはさまざまな国や地域で活動し、おもに4つの活動をしています。

  1. 地球温暖化を防ぐ…専門的な集団として、地球温暖化対策を発表する。地球温暖の影響について調査報告をする。
  2. 持続可能(サステナブル)な社会を創る…魚や木材、その他さまざまな「自然資源」を利用し続けられる社会の仕組みづくりに取り組む。
  3. 野生生物を守る…生物を絶滅から救うために国際的ネットワークを活かして保護プロジェクトを行う。
  4. 森や海を守る…優先的に保護すべき生態系を見極め、保全のために活動を展開する。

上に挙げた①~④は色々な言葉を使っていますが、すべて繋がりのある内容だと思いませんか?
①地球温暖化が防げれば、③野生生物を守ることができますし、私たちが④森や海を守っていけば、②持続可能な社会となるわけです。
「わたしたった一人が環境のことを考えなくても問題ない」などと思わずに、『環境が悪くなれば、絶滅危機にある動物がいなくだけではなく、私たち自身も暮らしにくくなる』『環境破壊が続けば私たちも住めなくなり、やがてこの世界は滅亡してしまうかもしれない』という危機感を持ちながら、今地球が抱えている環境問題に向き合っていくことが大切なのではないでしょうか。

まとめ

10年前に比べると平均気温も上がって、私たちも夏は冷房がないと生活できなくなっていますよね。
気象庁が発表している世界の平均気温を見ると、世界各地で様々な変動を繰り返しながら気温が上昇していることがわかります。
動物、海洋生物だけではなく、私たちも大変な危機的状況にあることを、まずは知るべきです。
そして未来のためにどうするべきか、今なにかできるのか、を身近なところで話し合うべきだとあらためて感じました。

参考
WWFジャパン 海洋プラスチック問題について

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自然を大切にしたからこそ生まれた
環境にも身体にもやさしいしいたけ

この記事を書いた人

やさしいしいたけ.jpライターのseikoです。
最近家庭菜園にハマっていて、つい先日はブルーベリー(サザンハイブッシュ系2種)とミニトマトの苗を植えました。
今年もレモンの木にはたくさんの蕾ができていて、今から収穫が楽しみです。
日々の暮らしの中で感じたことや、生活の知恵を共有できる記事を書きたいと思っています。

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