気候変動は、わたしたちが地球規模で取り組むべき重要な環境問題です。
気候変動を起こす理由として、自然現象によるものもありますが、1800年以降についてはわたしたち人間活動によるもの、例えば「化学燃料(石炭、石油やガスなど)」が原因だと言われています。
化石燃料を燃やすと、温室効果ガスが発生し、太陽の熱を閉じ込め、気温が上昇します。
温室効果ガスの濃度は、この200万年で最も高い水準と言われており、近年は最も気温が高い10年となりました。
この異常な気候変動による地球温暖化に対して、私たちに何ができるのでしょうか。
地球温暖化と森林の関係とは
森林を構成する樹木には、温室効果ガスである二酸化炭素を吸収し、木質繊維の形で炭素を蓄積する役割があります。そう、私たちが小学校で習う緑の「光合成」によるものです。
例えば、適切に手入れされている1ヘクタール40年生杉であれば、1年間に約8.4CO2トンの二酸化炭素を吸収すると試算されています。
1997年に京都市で開かれたCOP《国連気候変動枠組条約》で採択された国際約束である『京都議定書』第一約束期間では、温室効果ガスの排出削減目標を達成するために、1990年以降に行われた新規植林、再植林、森林減少に起因する二酸化炭素の吸収・排出量を計上することが義務付けられました。
つまり、地球温暖化と森林には大きな繋がりがあるということがわかります。
ただ植林すれば良い?間伐の重要性
地球温暖化と森林には深い関係があることがわかりました。では、その森林をただ増やすことだけで果たして良いのでしょうか。この森林をしっかりと手入れしなければどうなるのか考えてみましょう。
日本の面積の約7割は森林ですが、そのうち約4割は人工林だと言われています。健康な森であれば、効果的に二酸化炭素を吸収できますが、荒れ果てた森林ではその効果は生まれません。
それどころか、密に植えられたまま間伐されることなく放置された森林は光が届かないために、木がやせほそり、台風や雪によってバタバタと倒れてしまいます。そうすれば、悪天候時では土砂災害のリスクも増えてしまいます。
そうならないために、適切に間伐をして、森を健康な状態に手入れすることは、非常に重要なことだと言えるでしょう。
『JUON NETWORK』の取り組みと、森林保全の観点から生まれた「樹恩割り箸」
『JUON(樹恩)NETWORK』という認定特定非営利活動法人は、1985年に設立の母体である大学生協(早稲田大学)が過疎地域に住む人々と出会い、『「まち」と「むら」の架け橋になりたい』という思いから誕生した団体です。
現在は、自然と向き合う知恵と技を学び伝える場を提供し、都市と農村漁村の循環と人々とのつながりを通して持続可能な社会の実現を目指す活動をしています。 その活動の一つである「樹恩割り箸」の製造について紹介します。
この割り箸は、認定特定非営利活動法人 樹恩ネットワークによって運営され在、福島・埼玉・東京・徳島の全国4か所の知的障害施設で製造されています。
国産の間伐材で割り箸を使うことで、日本の森林を守り、障害者の仕事づくりにも貢献しています。持続可能な開発目標(SDGs)の観点からすると、「8.働きがいも経済成長も」「13.気候変動に具体的な対策を」「15.陸の豊かさも守ろう」という3つの役割を担っている割り箸です。まさに色々な人々を結ぶ“架け橋(箸)“となっている割り箸です。 この割り箸を手にした人々に、日本の森林を考えるきっかけを持ってもらいたいと、現在では全国70以上の大学生協食堂で利用されています。
まとめ
日本では年間200億善の割り箸が使われているのですが、その約98%が輸入された割り箸だそうです。外国で作られた割り箸は国産よりも安いことがメリットですが、この「樹恩割り箸」を知り、環境保全や地球温暖化への影響を考えると、「少し高くても国産を選びたいな」という意識の変化がありました。
また、もうひとつ意識の変化を感じたのが、「割り箸=使い捨てだからなるべく使わない」という先入観を捨てたことです。少し前、「マイ(My)箸」が流行り、エコバッグのように持ち歩く習慣もありましたが、森林を間伐することの重要性を学習することで、その固定観念がなくなりました。
まずは、地球温暖化の現状を知り、自分に何ができるかをさらに考えていきたいと思っています。