森林破壊とは森林伐採や森林火災などが原因となり、森林が失われる状況のことを指します。森林破壊は主に貧困や飢餓のような問題を抱えた途上国で起こっているので、日本に住んでいる身としては森林破壊の現状をそこまで実感することは少ないでしょう。
ただ、森林破壊による影響とそれに対する日本の取り組みを知ることはできます。日本で行われているその取り組みに目を向けることで、私たちも目を背けてはいけない問題だと実感することができるのではないでしょうか? ここで今一度、森林破壊について深く考えてみましょう。
森林破壊の現状は?
国連食糧農業機関が2016年に発表したデータによると、2020年の世界の森林面積は約40億haであり、2010年から2020年の間で年平均470万ha減少しているそうです。
1990年から2000年では年平均780万ha減少していたため、森林破壊されるペースが落ちて改善されているように感じますが、今もなお森林破壊が進み続けているということは変わらない事実です。
森林破壊が進むと地球にどんな影響があるの?
森林破壊が良くないということは分かるのですが、このまま森林破壊が進んでしまうと地球には一体どのような影響があるのでしょうか?森林が持つ大切な役割をこの機会に一緒に考えてみましょう。
地球に住む生物や生態系への影響
地球上にはたくさんの生物がいますが、陸地に住む生物の3分の2以上が森林に住んでいます。森林が破壊されるとその生物は住む場所を奪われ、今まで築き上げてきた生態系を崩す可能性が大いにあるのです。
生物間で起きる食物連鎖は自然界では当たり前に起きていますが、森林破壊によって1つの種が絶滅してしまうと、その種を食べていた生物にも影響が出てしまいます。ですので、さまざまな生物を保全するためにも、森林は重要な役割を担っているのです。
地球に住む私たちへの影響
森林があることによって、木材や農作物、原料を採取することができます。それは、地球に住んでいる私たちの生活になくてはならないものです。
また、森林破壊が進むことで病原菌を持つ野生動物との接触も多くなり、人や家畜に感染症が蔓延する可能性も高くなります。
これらのことから、森林がない地球で生物は生きていけないというのはもちろんのこと、私たち人も生きてはいけません。森林破壊は私たちにも影響してくることなので、決して他人事ではない問題なのです。
地球の気候変動への影響
森林破壊は、地球の気候変動にも大きく影響します。学校で習うように、植物には地球上で排出された二酸化炭素を光合成して吸収するという働きがあります。しかし、森林がなくなるとその二酸化炭素を吸収できなくなってしまい、このまま二酸化炭素の排出量が増えると地球や海水の温度が上昇するという地球温暖化が起きてしまうのです。
森林破壊に対する日本の取り組みは?
このように森林破壊は地球に悪い影響をもたらしていますが、どのようにして森林破壊を食い止めようとしているのか、日本の取り組みをご紹介していきましょう。
日本の取り組み①違法伐採問題に対処する「クリーンウッド法」
最初にご紹介する日本の取り組みは、「クリーンウッド法」です。「クリーンウッド法」は、合法に伐採された木材の利用や流通を促進するために2016年に施行された法律。すべての事業者が合法に伐採された木材の利用を求められ、合法性を承認する手続きをする必要があります。
ですので、木材を購入する際は「登録木材関連事業者」を選ぶことによって、合法に伐採された木材の利用と促進をすることができますよ。
日本の取り組み②環境負荷が少ない商品の需要を促進する「グリーン購入法」
2000年に施行された「グリーン購入法」とは、公的機関が環境に負荷が少ない商品やサービスを率先して開発するように推進している法律です。このような取り組みのおかげで、私たち消費者が環境に優しい商品やサービスを選んで優先的に購入できるようになりました。
例えば、エコマークやグリーンマーク、FSC認証マークなどのマークがついている商品はすべて「グリーン購入法」の基準をクリアした商品ですので、環境に優しいものだと信頼して購入できます。
森林破壊に対する取り組みをしてる商品を調べたい方は「エコ商品ねっと」というサイトを利用してみるのをおすすめします。
日本の取り組み③途上国への国際的支援活動
最後にご紹介する日本の取り組みは、途上国への国際的支援活動です。
その取り組みのひとつとして、国際協力機構(JICA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)による陸域観測技術衛星「だいち」の開発が挙げられます。森林の伐採状況を観測するシステムが搭載された「だいち」は、途上国で違法伐採の監視に利用されています。
森林破壊に対する日本の取り組みを通じて、私たちができることを考えよう!
森林破壊が進むことで地球にはさまざまな影響が起こり、本来であれば森林が果たすべき役割が果たせなくなっています。森林破壊が地球にもたらす影響を知れば知るほど、私たちの生活を脅かす環境問題だということが身に染みて感じられますね。
では、これから何百年も先にある地球の未来を考えた時、そこに人や生物は住んでいるのでしょうか?森林破壊が進み続けて最悪な未来にならないように、日本の取り組みを通して私たちができることを一緒にやり続けていきましょう。
私たちができることは何か具体的に書いてある記事もありますので、そちらもご覧くださいね。
関連リンク「今も加速し続ける森林破壊の原因とは?世界で行われている対策や私たちができること」
参考
環境省「森林と生きる」
WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」
林野庁「クリーンウッド法の概要」
環境省「グリーン購入法」