あなたはおうちで植物を育てていますか?
最近はアパートやマンションのベランダで家庭菜園をしたり、仕事用のデスクに小さな観葉植物を置いたりするのが流行っているそうですね。
実は私もさまざまな植物を育てています。
庭にはビワ、レモン、夏ミカン、ブルーベリーの木があり、今年の夏はミニトマトを新たに植えました。
若いころはあまり興味がありませんでしたが、30代後半頃からは木や草花を見て、育てることで、自分が癒されていることに気付きました。
大きな木から、道路脇の小さな雑草の花まで、「緑」には不思議なチカラがあると思いませんか。
この『緑の不思議なチカラ』は私たちを癒してくれるだけではなく、都市部で問題となっているヒートアイランド現象対策としても一役買っているというのです。
政府や地方自治体は、さまざまな形で緑化計画を推奨しています。
果たして「緑は地球を救う!」のでしょうか?!
都市部のヒートアイランド現象
とくに都市部で問題となっている「ヒートアイランド現象」。
これは特にビル群や人口が多い都市部で見られる現象で、人工的な建造物やアスファルトなどの地表面被覆による蓄熱・排熱により、気温が上昇することを意味しています。
ヒートアイランド現象が進むとどうなるのでしょうか。
まず、思いつくのは熱中症など我々の健康に影響が出るリスクが増え、真夏にスポーツや外出が難しくなることでしょう。
でも、それだけではありません。
冷房の使用が増えて、二酸化炭素を多く排出してしまいますし、集中豪雨など局地現象が変化してしまいます。
それに、冬の気温も上がってしまえば今まで冬を越せなかった生物が越冬するようになるなど、生態系が変化してしまうなどの問題も出てきます。
このように、ヒートアイランド現象により、さまざまな問題が危惧されているのです。
打ち水はもう効果がない?この夏の実験で感じた不安
ヒートアイランド現象により、冷房の効きが悪くなっている気がします。
少し前までは「28℃が良い」と言われていましたが、日中家にいると28℃では暑くて室内でも熱中症になりそうになったことがありました。
中学生の娘と相談し、昔ながらの「打ち水」をすれば家の周りの温度が下がって冷房の効きも良くなるのではないか?と実験してみることにしました。
7/21(木)この日は曇りでしたが、9:38のアスファルトの上は33.9℃、湿度は54%でした。
打ち水をした直後は31.6℃に下がり、湿度は73%になったので「予想通り、打ち水をしたら温度が下がった!」と喜んでいたのですが、その5分後、10分後には驚くべき結果が待っていたのです。
9:45になると32.2℃まで上昇し(湿度は63%)、さらに5分後の9:50にはアスファルトが乾きだしてしまいました。
そして気温は34.4℃と、最初にはかった温度よりも高くなったのです。(そして湿度も元々とほぼ同じ55%にまで下がりました)
驚きました。
毎日継続すれば、数か月後に効果が出てくるのでしょうか。
それとも、それほどヒートアイランド現象が進んでしまっているのでしょうか。
政府の目指す「屋上緑化計画」
国土交通省の屋上庭園は、都市部のヒートアイランド問題の対策を意識した造りになっています。
具体的には、こう記されています。
屋上を緑化することにより、緑化土壌の断熱作用や植物自体が日射を遮ることによる、屋内の温度上昇抑制や省エネ効果だけでなく、植物の蒸散作用によって屋外空間の温度上昇を緩和する効果も期待できます。つまり、屋上緑化がもたらす熱環境の改善は、室内環境の改善や経済的な効果から快適な屋上空間の創造、都市全体の環境改善効果など、様々な効果をもたらすのです。
引用:国土交通省屋上庭園 屋上緑化の効果
つまりキーワードは「屋上緑化」です。
この国土交通省の屋上庭園のように屋上緑化することで、夏場の室温が上昇することを抑制できるのです。
それだけではなく、火災が起きた場合、緑には防火・防熱の効果があるために建築物を保護してくれ、火災延焼の効果もあります。
そして緑には心理的な効果もあり、私たちの豊かさや、安らぎ感を向上させてくれるのです。
さらに、下記の4つの環境改善効果があるとも記されていました。
- 都市気象の改善(ヒートアイランド現象の緩和、過剰乾燥の防止)
- 省エネルギーの推進(エアコンにかかる電力の低減等)
- 空気の浄化(CO2,NOx,SOxの吸着等)
- 雨水流出の遅延・緩和
緑化計画のデメリット
緑化はヒートアイランド現象対策にはとても良いアイデアですが、デメリットもあります。
デメリットについても触れておきましょう。
植物の種類にもよりますが、緑化することで建物に負担がかかってしまいます。
とくに屋上緑化する場合は、積載荷重以上に植栽すると土や植物の重みで建物に負担をかけてしまいます。
日本は地震が頻繁にありますので、耐震性についても慎重に考えなければなりません。
また、四季のある日本では季節の変わり目、とくに秋冬には注意が必要です。
なぜなら、屋上緑化する際に落葉樹を植えてしまうと、秋冬になると葉が枯れて周辺に落ち葉が落ちてしまう問題が出てきます。 広範囲まで清掃することは難しいので、近隣トラブルにならないように気を付けたいものです。
そして、そもそも緑化するにはコストがかかります。
定期的なメンテナンス費用も踏まえて、緑化計画をしたいですね。
神奈川県横浜市の緑化について
神奈川県横浜市民は「みどり税」を負担していることをご存知でしょうか。
「緑豊かなまちを次世代に継承するため」「緑は一度失われると取り戻すことが困難」との理由で、平成21年度から市民が負担をして緑化計画が進められています。
また令和2年1月 29 日改訂の横浜市環境創造局「緑化地域の概要」によりますと、住居系用途地域で建築敷地面積500㎡以上の建築物の新築・増築を行う場合、敷地面積の10%以上の緑化が義務付けられていることがわかります。
長い目で見たら、地方自治体がしっかり緑化の管理をしていくことも、ヒートアイランド現象を食い止めるために必要なことかもしれませんね。
資料には横浜の気候になじむ『おすすめの植栽』が紹介されているので、ぜひ「我が家にもシンボルツリーを」と考えている方は参考にしてみてくださいね。
まとめ
都市部に住んでいる方々の多くは、この夏とくにヒートアイランド現象を顕著に感じているのではないでしょうか。
ベビーカーに乗る幼児がいるご家庭では、アスファルトからの照り返しに気を付けなければなりませんね。
つい先日、子供が芝生の上でプールをしている時にウッドデッキの温度を計ったら、何と43~44℃でした。
空から照り付ける太陽だけでなく、足もとからの熱で日中の外出が怖くなってしまいます。
このヒートアイランド現象をこれ以上進行させないために、家庭でも緑化計画を進めたいですね。