SDGs 6番目の目標は「安全な水とトイレを世界中に」。
日本では蛇口をひねると安全でおいしい水が飲めますが、世界レベルで考えてみると、それは当たり前のことではありません。
世界の人口の約3分の1、約22億人もの人々は、安全な飲み水を使える環境にいません。
そして、安全に管理されたトイレを使えない人は約42億人にものぼります。
この42億人という数字は、何と世界人口の約6割です。
この現実を知ると、私たちは非常に恵まれた水環境にいることが分かりますね。
でも、残念ながら今後ずっとこの生活が続くとも言い切れないのです。
それは人口増加、経済の発展や地球温暖化の影響で、将来深刻な水不足に陥る可能性があるからです。
人口増加について目を向けてみると、日本国内では少子化などと言われていますが、世界全体では増え続けています。
国土交通省のホームページにその具体的な数字が書かれており、世界の総人口は2015年時点で約73億5,000万人ですが、2050年には約97億3,000万人になると予測されています。
人口が増加するということは、すなわち水の使用量の増加を意味します。
国連教育科学文化機関(UNESCO)の「World Water Resources at the Beginning of the 21st Century (2003)」によると、世界の水の使用量は1950年(昭和25年)から1995年(平成7年)の間に、約2.74倍となっており、同期間の人口の伸び(約2.25%)よりも高い結果となっています。
特に生活用水の使用量は6.76倍と急増しています。
将来もずっと安全な水を使い続けるためには、私たちが毎日水をどれくらい使っていて、どうすれば節水できるのかを考えていく必要があるのではないでしょうか。
私たちは毎日どのくらい水を使っているのか
私たちが家族単位で水について考えること、そして水が限りある資源ではないということを意識することは、水問題解決の第一歩とも言えます。
いったい私たちは1日あたりどのくらいの水を使っているのでしょうか。
令和元年度の東京都水道局の調査によると、家庭で1日あたり使う水の量は「約214リットル」だそうです。
この数字をペットボトル何本分なのかを換算してみて、驚く方も多いのではないでしょうか。
水は飲料だけでなく、洗面、手洗い、歯磨き、食器洗い、洗車、風呂、シャワーなど、様々な場面で使われます。
実際に災害で断水を経験したことがある方は「水道が止まってしまったらどんなに不便か」身をもって感じたことがあると思います。
そうでない方は一度、『水道が出ない暮らし』を想像してみると、どれだけ私たちが水資源に頼った生活をしているのかが分かるかもしれません。
私たちが水を使う場面を考えてみよう
水は飲料だけでなく様々な場面で使われますが、具体的に多くの水を使うのはどんな時かを考えてみましょう。
使う水の量が多い場面を知り、そこで節水の工夫ができれば効果も大きくなりますよね。
東京都水道局による「平成27年度 一般家庭水使用目的別実態調査」では、お風呂が水使用全体の約40%と、一番比重が高いことが分かりました。
浴槽にためる水は、約200リットルです。
1回お風呂に入るためには、2リットルのペットボトル100本分もの水が必要なのですね。
浴槽に浸かるだけではなく、洗った身体をシャワーで流す時には5分間で約60リットル(2リットルのペットボトルを約30本分)も使うことになります。
私たちがよく使う場面は、お風呂に続いてトイレが21%、炊事が18%、洗濯が15%となっています。
私たちが家庭でできること
私たちは毎日多くの水の量を使っていることが分かりましたが、家庭でできる節水の工夫がありますので、ご紹介したいと思います。
①お風呂
お風呂では、半身浴を励行し、お湯はりの量を少なくすると従来の量より20~30%のお湯の量を節水することができます。
お湯が出始めるまでの捨て水を有効活用すること、また、最後にお風呂に入る人が浴槽にためた湯水で身体や頭を洗うとさらに効果的です。
シャワーは出し過ぎず、こまめにシャワーの水を止めて使うことで1回あたり8リットル、4人家族であれば1ヶ月で約960リットルもの水が節水できる計算となります。
②トイレ
トイレでは大小正しい洗浄切り替えを行うことで節水でき、1回あたり最大で2リットルも利用量が変わってきます。
トイレを2度流す癖がついてしまっている人は、その癖を直す努力をしましょう。
③キッチン
炊事で水を使う時は、水の吐水量を減らして、出しっぱなしにせずにこまめに止めながら使うことを意識しましょう。
食器は油汚れやソースの汚れなどを事前にキッチンペーパーでふき取っておけば、皿を洗うときに少量の水で済みます。
また、ある程度食器をため洗いすることも効果的で、1回あたり90リットルも節水可能です。
米を研いだ時に出る白い水には栄養分が含まれているので、植物の水やりに再利用しましょう。
④洗面台
顔を洗うときは、桶などに水を張ると節水効果があります。
歯を磨く時は、口をすすぐための小さなコップを用意して、利用すると節水効果が高いです。
吐水量を意識して、流しっぱなしにしないように注意しましょう。
⑤洗車
洗車する時は、バケツを利用すると節水できます。
具体的には車を1台洗うのに、ホースからの流し洗いでは約90リットルの水を使います。
これをバケツに水を汲んで洗えば、約30リットルで済み、約60リットルも節水になります。
まとめ
将来直面するかもしれない「水問題」・・・
限りある水資源について学び、一緒に暮らす家族と考えていかなければならない環境問題のひとつです。
個人レベルですぐに大きな効果を出すのは難しいかもしれませんが、一人一人が継続して節水を積み重ねる事は、やがて大きな力になると信じています。
食器を洗う時に少しでも水を流しっぱなしにしないという意識を持つこと、髪の毛を洗う時にこまめにシャワーを止めることを習慣化すること、これだけでも大きな進歩です。
家族みんなで話し合って、できるところから節水をはじめてみませんか。
参考
EduTownSDGs SDGs目標6. 安全な水とトイレを世界中に
国土交通省 水資源:水資源問題の原因
東京都水道局 もっと知りたい「水道」のこと
環境省 水・大気環境局水環境課 生活排水読本