あなたは椎茸がどのように栽培されるか知っていますか?
「キノコが木から生えているのを見たことがある!」という方もいるかもしれませんね。
実は椎茸には2つの栽培方法があり、それぞれに違いや特徴があります。
今回は栽培方法のひとつである「原木椎茸栽培」にスポットを当て、原木栽培で大切に育てられた国産椎茸の良さをお伝えします。
椎茸の栽培方法と特徴
原木(げんぼく)栽培
樹齢20年から25年の「ナラ」や「クヌギ」などの広葉樹を1メートルほどに切って、椎茸の菌を植え付けるのが原木栽培の方法です。
「ほだ場」と言われるしいたけの畑で自然環境を活かして栽培されています。
菌糸がはいめぐり、収穫できるまで育つには約2年間かかります
その椎茸の原木は1本だけでも5キロから10キロほどするので、たくさん生産する場合に重労働です。
そして温度管理や天気にも左右されやすいため、安定した生産をするのが非常に難しい栽培方法と言えます。
一方では、原木の樹皮が外部からの雑菌が侵入するのを防いでくれるので、無農薬栽培が可能です。
適度に水は与えることはあっても、人工的に養分を与えることはありません。
菌床(きんしょう)栽培
短期間でコストを抑え、大量に椎茸を生産できるのが菌床栽培の特徴です。
おがくず、栄養剤、水を混ぜて、20センチ四方ほどのかたまりにします。
殺菌処理をした後、そのブロック状のかたまり(菌床)にしいたけ菌の種駒を打って、真っ暗で温度管理された施設で90日培養します。
そうするとその後椎茸が発生し、3ヶ月から6カ月のサイクルで次々に収穫できるようになります。
大きさが一辺20センチで重さも1ブロックあたり2キロ前後なので、原木に比べると軽量で扱いが簡単です。
一年中収穫できるため、乾燥させずに生の状態で出荷することも可能になりました。
生椎茸が市場に出回るようになったのは、菌床椎茸が普及してからです。
手間はかかるが風味豊かに育つ原木栽培
原木栽培と菌床栽培は、栽培方法も特徴も全く違うことがお分かりいただけたと思います。
実は2つの栽培方法は手間やコスト、生産できる量などのほかに違いがあります。
それは、原木椎茸は「椎茸らしい香りや食感」をより感じてもらえるということです。
菌床椎茸は人工栄養剤により効率良く短期的な培養が可能となりましたが、一方では椎茸特有のあのコリっとした食感が失われてしまうのが難点です。
人工的な栄養剤を使っているということだけでも、家族に食べさせるなら「原木栽培の椎茸を食べさせてみたい」と思いませんか?
原木栽培の場合は木の養分から作られ、硬い木(ナラやクヌギ)がゆっくり時間をかけて自然の力で椎茸を発生させるので、後味はほんのり甘く、自然の恵みが感じられます。
原木椎茸は見た目も茶褐色で艶があり、椎茸肉の厚さも菌床椎茸とは違います。
見た目も風味も異なる2つの栽培方法の椎茸をぜひ一度、食べ比べしてみてください。
販売されている椎茸のほとんどが菌床栽培!とっても貴重な原木椎茸!!
2020年の生しいたけの国産生産量は7万280位トンです。
栽培方法別では原木栽培が7.7%の5,396トン、菌床栽培が92.3%で6万4,884トンとなっています。
原木栽培はわずか7.7%。
このデータからも原木栽培がいかに希少なのかが分かりますね。
まとめ
国産の原木椎茸が非常に貴重で、自然からの恵みを受けた食物であることをご理解いただけたでしょうか。
椎茸は出汁などでは「脇役」であり、ステーキにするなど「主役」にもなる、万能食材です。
どうしても脂質を取りやすい現代人にとっては、健康面から考えても良い食材ですね。
価格が手頃な菌床椎茸ではなく、肉厚で風味豊かな国産の原木椎茸を、ぜひお試しください。
参考
・農林水産省 PDFデータ 乾しいたけの生産量は、九州が上位を独占しています。
・農林水産省 消費者の部屋 生しいたけの国内生産量とおもな産地(さんち)をおしえてください。