2015年以降、東京都と同じ面積の森林が1週間ごとに失われ続けていることをあなたは知っていますか?ナショナルジオグラフィックの研究では、このままのペースで森林破壊が続いた場合、世界の熱帯雨林はたった100年で完全になくなると言われています。
普段から使っている紙製品が100年後にはなくなっている、もしかしたらそんな未来が来てしまうのかもしれません。そうなったら私たちの子どもや孫、ひ孫の世代は一体どのような生活を送ることになるのか、考えるだけでもこわくなります。そうならないためにも、森林破壊を防ぐための対策や私たちにできることは何か考えなくてはいけません。この記事を通して、この機会に森林破壊のことを一緒に考える時間にしましょう!
森林破壊とは?
森林破壊とは、自然回復力が追いつかないほどの早さで世界各国の森林面積が減少している状況のことです。森林が失われて地球温暖化が進むだけでなく、森林破壊は動物や植物の生態系にまで影響を及ぼします。このまま森林を破壊し続けると、森林が再生するまでに何十年もかかるため、森林破壊による問題を解決することは非常に難しくなってしまうのです。
森林破壊の原因
では、なぜ森林破壊が進み続けているのか。その主な原因を5つ見ていきましょう。
原因①先進国による商業伐採
森林破壊の主な原因のひとつとして挙げられるのが、「先進国による商業伐採」です。先進国で消費する紙の原料となる木材が途上国で過剰に伐採され、そのほとんどが先進国に輸出されているのが現状です。
原因②違法伐採
国の決めた法令に違反して木材が伐採される「違法伐採」もまた、森林破壊の原因のひとつです。違法伐採によって先住民の暮らしが脅かされるだけでなく、安すぎる不当な価格で取引されると木材の市場価格が下がってしまいます。その結果、正当な運営をする森林業者の経営が圧迫されてしまい、持続可能な森林経営の妨げとなるのです。
原因③土地利用の転換
世界的に人口が増えたことで、住む場所や食べ物、燃料の需要が高まったため、森林から「土地利用の転換」をする国が増えています。大量の作物を栽培して輸出することを目的とした大規模農園「プランテーション」を作るために、森林が伐採されて森林破壊の原因に繋がっています。
原因④非伝統的な焼畑農業の増加
草木を焼き払って農地として数年利用した後、農地が森林に回復するまで待ち、回復したら再び農地として利用するというサイクルを繰り返す「伝統的な焼畑農業」に対し、農地が回復する前に草木を焼き払って作物を育てるという「非伝統的な焼畑農業」が増加しています。森林になる前に草木を焼き払うと土壌が痩せて森林が再生しなくなるので、結果的に森林破壊の原因となります。
原因⑤森林火災
「森林火災」も深刻な森林破壊の原因です。WWFとボストンコンサルティンググループ(BCG)の報告書によると、2020年4月の世界の火災警報の数は2019年と比べて13%も増加したことが報告されています。
森林火災が起きる原因として、火の不始末や落雷による自然発火などさまざまありますが、火災の頻度や焼失範囲が拡大したのは地球温暖化が進んだからだとも言えるデータではないでしょうか。
世界的に行われている森林破壊の対策は?
森林破壊の原因を見る限り、悪化の一途をたどっているように感じてしまいますが、世界では一体どのような対策がなされているのでしょうか?ここでは、世界的に行われている森林破壊に対する対策を確認していきましょう。
対策①持続可能な開発のための「2030アジェンダ」
最初にご紹介する森林破壊の対策は、2015年9月の国際サミットにて採択された 「2030アジェンダ」です。「持続可能な開発目標(SDGs)」が定められた際に、森林破壊に対する目標「森林の持続可能な管理」が掲げられています。
対策②違法伐採を監視するための「コミュニティ・フォレストリー」
地域住民が主体となって森林を管理するという「コミュニティ・フォレストリー」は、1987年にイギリスのジャック・ウェストビーが提唱した森林管理法のひとつです。
また、地域住民の森林管理能力を強化することによって、違法伐採を監視する目的があるとされています。さらに「2030アジェンダ」が採択されたことでも、違法伐採を規制する動きが世界各国で活発になっています。
対策③森林認証制度「FSC認証」
森林管理協議会が管理する「FSC認証」とは、森林経営や環境保全に配慮した持続可能な森林管理のもと作られた製品を第三者機関が認証する国際的な制度のことです。認証された製品に「FSCマーク」をつけることで、環境に配慮された製品を消費者が購入しやすくなるため、森林保護の促進を促せるという仕組みになっています。
今、私たちにできることは?
20世紀後半に森林破壊が問題視され始めた時と現在を比べると、森林破壊に対する問題意識は世界的に大きく変化してきました。世界各国でもさまざまな対策がされている中、私たちにできることは何があるでしょうか?一緒に考えてみましょう!
①紙製品の使用を控える
日常生活において、私たちが想像しているよりもはるかに多くの紙製品を使用しています。無駄遣いをせずに必要な分だけを消費するという意識を持つことも大切ですね。
②違法伐採された製品を購入しない
安い家具などを見ると思わず買いたくなってしまいますが、果たしてその木材は正当な森林業者によるものでしょうか?一度立ち止まって考え、そしてできることなら国産の木材を使った製品を購入できたら良いですね。
③「FSCマーク」の製品を購入する
先ほど世界的に行われている対策のひとつとして、森林認証制度「FSC認証」を挙げましたが、この「FSCマーク」のついた製品を選ぶようにすることも森林保護に繋がっています。まずは普段何気なく購入している製品に「FSCマーク」がついているかどうか、確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか?
森林破壊を食い止めるために、身近にできることから考えよう!
今回の記事では森林破壊の原因に対する対策や、その中で今私たちにできることは何か考えてきました。私たちが生きている間はすべての森林はなくならないかもしれません。しかし、これから生まれてくる新しい命のことを考えたら、今起きている森林破壊の現状に目を背けずに受け止める必要があるように感じます。
今を生きている私たちが未来のためにできること、それは身近にできることの小さな積み重ねでいいのです。そういったひとりひとりの意識こそが未来の子供たちを守ることに繋がる、そう思います。これからも、記事を通して私たちにできることを一緒に考えていきましょう!