しいたけの原産地表示が見直しへ!食品表示基準とは何か詳しく解説

林野庁のホームページにて、2022年3月30日に消費者庁の食品表示基準が改正され、しいたけは原木または菌床培地に種菌を植え付けた場所を原産地と表示することが発表されました。

なぜこのような発表がされたかというと、実は「中国産の菌床で栽培されたしいたけが国産しいたけとして販売される」というケースが近年増加したためです。収穫地は日本だったとしても種菌を植えつけた場所が中国なら、それは中国産のしいたけということになりそうですよね。

この記事では、国産しいたけの食品表示基準が見直されたことで一体何が変わったのか詳しく解説しています。この現状を知ることで、国産しいたけを選ぶことの大切さを一緒に考えていきましょう!

目次

食品表示基準とは?

食品表示基準とは、2015年4月1日に施行された「食品表示法」に基づいて定められた基準のことです。

食品の容器包装などに栄養成分が表示されているのをよく目にすると思いますが、私たちが普段買っているすべての加工食品に表示されています。食品表示基準とはその表示基準を示しているのです。

しいたけの原産地表示が見直されてから、どのように変わるの?

食品表示基準が見直されてから、一体どのように変わったのでしょうか?ここでは、「今まで」と「見直された後」でどのように生しいたけの原産地表示が変わったのか詳しく解説しています。

この記事で出てくる「菌床」について知りたいという方は、こちらの記事を読むともっと理解が深まるので読んでみてくださいね。

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今までのしいたけの原産地表示の仕方は「原産地=収穫地」

今までのしいたけの原産地表示は「どこで収穫されたのか」ということが基準になっていたため、「原産地=収穫地」でした。ですので、中国で種菌を植え付けた原木や菌床を輸入し、日本で収穫したしいたけの原産地はすべて国産しいたけとして販売されていました。

その一方、日本で種菌を植え付けて栽培したしいたけも、国産しいたけとして販売されます。どちらも同じ国産しいたけですが、消費者であるわたしたちにはどちらが「本当の国産しいたけ」なのか区別がつきません。そこで、2022年3月30日からしいたけの食品表示基準が見直されたのです。

見直された後のしいたけの原産地表示の仕方は「原産地=植菌地」

食品表示基準が見直された後は、「原産地=植菌地(種菌を植え付けた場所)」となりました。

林野庁のホームページでは、食品表示基準が見直されたことに関して以下のように説明しています。

消費者の誤認を防ぎ、自主的かつ合理的な食品選択の機会を提供する観点から、令和4年3月30日、消費者庁が食品表示基準Q&Aを改正し、「しいたけは栽培管理上、菌糸が培地の中に伸張するまでの培養初期段階の環境が子実体の形成に大きな影響を及ぼすと考えられているため、原木(ほだ木)又は菌床培地に種菌を植え付けた場所(植菌地)を原産地とする。」との考え方を示しました。

引用:林野庁ホームページ 食品表示基準Q&Aの改正について(しいたけの原産地表示)

このようなしいたけの食品表示基準が見直されたことで、わたしたち消費者にも「本当の原産地」が分かりやすくなりましたね。またそれだけでなく、安全な国産しいたけを選びたいという方や地元の農産物を買って地元を応援したいという方など、消費者のニーズに合った買い方もできるようになります。

しいたけの原産地表示が見直されたのはなぜ?

ところで、数ある農産物の中でしいたけだけがこのような問題に直面してしまったのには何か理由はあるのでしょうか?しいたけが原産地表示を見直されたその背景を詳しく見ていきましょう。

中国産の菌床が国産しいたけとして販売されるケースの増加

冒頭でも触れたように、中国産の菌床が国産しいたけとして販売されるというケースが近年になって急激な増加を見せています。日本農業新聞の記事 にて2021年の植菌済みしいたけ菌床の輸入量は37,131トン、そのほとんどが中国産であり、10年間で5倍に増えたとの記載があります。

農林水産省 特用林産生産統計調査よりグラフ作成

こちらのグラフデータを見ると、生しいたけの国内生産量は2005年に65,186トン、中国からの輸入量は22,526トンですが、国内生産量はその後も変わらずに輸入量だけが急激な減少を見せています。つまり、「原産地表示」としては中国産の生しいたけは減っていますが、中国産の菌床が増えて国産しいたけとして販売される割合が高くなっているということを示しています。

しいたけは育つ場所が移動可能

多くの農産物はその土地で根を張って成長したものを収穫することがほとんどですが、しいたけは違います。しいたけを栽培するための原木や菌床は持ち運び可能です。だから、今までの食品表示基準の「原産地=収穫地」のルールがしいたけに適用されると、わたしたち消費者が誤解を招くような事態にまで発展してしまったのです。

わたしたち消費者が国産しいたけを選ぶことの大切さを考えよう!

これまでしいたけの原産地表示が見直されることについて詳しく解説しましたが、いかがでしたか?しいたけの「本当の原産地」をわたしたちも知ることができるので、確認してみてくださいね。

そして、わたしたちが国産しいたけを選ぶことで日本の森林問題にも役立っていることを忘れてはいけません。国内で原木や菌床を生産している農家さんは日本の広葉樹を使用しており、木材自給率の低い日本では伐採して適切に管理された山づくりを進めることが重要になっています。

関連リンク「森林大国である日本が木材輸入大国!?日本の木材自給率が低い理由とは?」

わたしたちが国産しいたけを選ぶことは、このような問題を解決するためにもとても大切なことなのです。しいたけを購入する際に、あなたも意識して国産を選ぶようにしてみてはいかがでしょうか?

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- 世界が認めた日本の原木栽培しいたけ -



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この記事を書いた人

やさしいしいたけ.jpライターのごとうあきらです。
3歳男の子の育児と家事に毎日奮闘しています。
読みやすくて分かりやすい記事の執筆を目指し、読者のみなさまと環境問題について一緒に考えていけたらと思っています!

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